昭和48年の秋に起こった石油危機による狂乱物価の影響で、診療報酬の改定が昭和49年2月に19.9%、昭和49年10月に16.2%と2回にわたって行われた。これらの改定は、従来の中央社会保険医療協議会(中医協)の建議方式ではなく、中医協への諮問方式によって行われた。今回は、 昭49年2月と昭49年10月の2回の改定の主要点数の変化と昭和42年の点数との比較をおこなった。昭和42年から昭和49年までの5回の改正でいかに恣意的に点数が決められてきたかがよく分かる。昭和42年から歯科医療は崩壊の道をたどって今に至っている。
昭42年→昭49年2月→昭49年10月 昭49/昭42
改定率 19.90% 16.20% 1.74倍
◎診察料では、・初診時基本診療料 30点→56点→60点 2.00倍・再診料(単に診察のみ、45年新設) −→10点→12点・往診料 24点→37点→150点 6.25倍◎歯科用レントゲン・診断料 12点→12点→12点 1.00倍・撮影料 23点→23点→23点 1.00倍◎処置料(歯牙疾患の処置)では、・普通処置 6点→12点→15点 2.50倍・歯髄覆罩(45年新設) −→12点→15点・根管治療(単根管) 6点→12点→15点 2.50倍根管治療(2根管) 8点→14点→17点 2.13倍根管治療(3根管) 8点→16点→19点 2.38倍・根管拡大(1根) −→ 6点→ 7点・直抜即時根充(単根管) 39点→110点→130点 3.33倍 直抜即時根充(2根管) 45点→120点→140点 3.11倍 直抜即時根充(3根管) 45点→130点→150点 3.33倍・抜髄(単根管) 14点→28点→34点 2.43倍抜髄(2根管) 16点→34点→41点 2.56倍抜髄(3根管) 16点→40点→48点 3.00倍・失活抜髄即日根充(単根管) 33点→64点→78点 2.36倍 失活抜髄即日根充(2根管) 39点→74点→89点 2.28倍 失活抜髄即日根充(3根管) 39点→84点→100点 2.56倍・根管充填(単根管) 13点→24点→29点 2.23倍 根管充填(2根管) 15点→26点→31点 2.07倍 根管充填(3根管) 15点→28点→33点 2.20倍・歯髄切断(生活) 32点→100点→120点 3.75倍・歯髄切断(失活) 14点→ 28点→ 34点 2.43倍・即日充填処置(45年新設) −→ 80点→100点・歯肉圧排(45年新設) −→ 10点→ 12点・口腔軟組織疾患の処置 6点→ 10点→ 12点 2.00倍・歯石除去(1顎1回につき) 15点→1/3顎簡単10点、複雑30点→1/3顎簡単12点、複雑36点・盲嚢掻爬(簡単) 15点→1/3顎40点→1/3顎50点 3.33倍盲嚢掻爬(複雑) 50点→1/3顎120点→1/3顎150点 3.00倍・歯槽膿漏処置 6点→12点→14点 2.33倍・歯冠修復物又は補綴物の除去 7点→簡単10点、 困難20点→簡単15点、 困難30点◎手術では、・抜歯術(1歯につき)1.乳歯 17点→ 60点→80点 4.71倍2.前歯 17点→ 60点→80点 4.71倍3.臼歯 25点→ 80点→110点 4.40倍4.難抜歯(埋伏歯、 歯根肥大、 骨の癒着歯等に対する骨の開さく又は歯根分離術)85点→200点→280点 3.29倍・抜歯窩再掻爬手術 22点→50点→70点 3.18倍・歯槽骨整形術、骨瘤除去術1.前歯 14点→50点→70点 5.00倍2.臼歯 23点→50点→70点 3.04倍・腐骨除去術1.簡単なもの 23点→ 60点→ 80点 3.48倍2.複雑なもの 320点→810点→1,150点 3.59倍・歯槽堤形成手術 290点→730点→1,000点 3.45倍・口腔内消炎手術1.歯齦膿瘍、骨膜下膿瘍若しくは口蓋膿瘍の切開又は智歯周囲炎の歯齦弁切除等 22点→ 50点→ 70点 3.18倍2.骨髄炎又は顎骨骨炎等 24点→100点→140点 5.83倍・口腔外消炎手術1.2センチメ−トル未満のもの 22点→ 50点→ 70点 3.18倍2.5センチメ−トル未満のもの 30点→ 80点→110点 3.67倍3.5センチメ−トル以上のもの 38点→100点→140点 3.68倍・歯肉息肉除去手術 22点→ 50点→ 70点 3.18倍・顎骨腫瘍手術(歯根嚢腫、 濾泡性歯牙嚢腫、歯齦腫等) 340点→410点→570点 1.68倍・歯根嚢胞摘出手術歯冠大 130点→260点→360点 2.77倍拇指頭大 340点→410点→570点 1.68倍・歯槽骨骨折手術1歯乃至2歯の範囲 70点→180点→250点 3.57倍3歯乃至5歯の範囲 150点→270点→270点 1.80倍・顎骨骨折手術(縫合手術を含む) 580点→690点→970点 1.67倍・歯根端切除手術 120点→340点→480点 4.00倍・歯槽膿漏の手術1.歯肉切除術(1回につき) 100点→250点→350点 3.50倍2.歯肉剥離掻爬手術(1回につき) 150点→400点→560点 3.73倍3.暫間固定術 70点→180点→250点 3.57倍4.監視 7点→14点→30点 4.29倍・下顎骨脱臼整復術 43点→51点→70点 1.63倍◎麻酔料では、・伝達麻酔下顎孔又は眼窩下孔にするもの 8 18点→18点→25点 1.39倍・浸潤麻酔 4 11点→11点→15点 1.36倍◎ 歯冠修復および欠損補綴料では、・補綴時診断料(47年新設) −点→50点→50点・歯冠形成生活歯鋳造 10点+材料→60+70点→70+80点生活歯ジャケット冠 40点+材料→60点→70点帯環金属冠 20点→30点→40点 2.00倍失活歯築造アリ 40点+材料→60点(鋳造+70点)→70点(鋳造+80点)・印象採得 歯冠修復(45年新設) −→ 20点→ 25点欠損補綴(簡単) 20点→ 30点→ 40点 2.00倍(複雑) 20点→ 60点→ 70点 3.50倍・装着 歯冠修復 −→10点+材料→12点+材料ブリッジと有床義歯 −→30点→40点口蓋補綴・顎補綴 困難 −→50点→60点・銀錫アマルガム(1窩洞につき)・硅酸セメント(1窩洞につき)・レジン(1窩洞につき) 20点+材料→1窩洞30+1面付5+材料→1窩洞40+1面付6+材料2.30倍・鋳造歯冠修復(1個につき) 60点(1面に付10+材料)→50点(1面に付15+材料)→60点(1面に付18+材料) 1.11倍・帯環金属冠1.嚼面圧印冠(金パラ・その他) 80点+材料→100点+材料→110点+材料 1.38倍2.嚼面鋳造充実冠(金パラ・その他) 100点+材料→100点+材料→110点+材料1.10倍・歯冠継続歯1.14K裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍2.金銀パラジウム合金裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍3.その他の合金裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍4.レジン冠 70点+材料→170点+材料→210点+材料 3.00倍5.陶歯冠 70点+材料→170点+材料→210点+材料 3.00倍・ジャケット冠 70点+材料→220点+材料→290点+材料 4.14倍・局部義歯(1床につき)1.1歯より4歯まで 110点+材料→150点+材料→250点+材料 2.27倍2.5歯より8歯まで 140点+材料→180点+材料→300点+材料 2.14倍3.9歯より11歯まで 170点+材料→210点+材料→350点+材料 2.06倍4.12歯より14歯まで 200点+材料→240点+材料→400点+材料 2.00倍・総義歯(1顎につき) 350点+材料→400点+材料→700点+材料 2.00倍・鋳造鉤(1個につき) 70点+材料→100点+材料→120点+材料 1.71倍・線鉤(1個につき)1.双歯鉤 30点+材料→60点+材料→70点+材料 2.33倍2.両翼鉤(レストつき) 25点+材料→40点+材料→50点+材料 2.00倍3.レストのないもの 22点+材料→30点+材料→40点+材料 1.82倍・フック,スパ− 21点+材料→30点+材料→40点+材料 1.90倍・ろう着 5点→10点→12点 2.40倍・バ−(1個につき)1.鋳造バ− 110点+材料→150点+材料→180点+材料 1.64倍2.屈曲バ− 55点+材料→ 80点+材料→100点+材料 1.82倍・ダミ−1.前歯部イ.裏装有り(14K、金パラ等)110点+材料→160点+材料→190点+材料 1.73倍 ロ.裏装無し(その他の合金) 80点+材料→160点+材料→190点+材料 2.38倍2.臼歯部イ.金銀パラジウム裏装又は鋳造ダミ− 110点+材料→160点+材料→190点+材料ロ.その他の合金裏装又は鋳造ダミ− 110点+材料→160点+材料→190点+材料1.73倍・口蓋補てつ,顎補てつ(1顎につき)1.床の印象採得が簡単なもの 60点→200点→240点 4.00倍2.床の印象採得が困難なもの 120点→300点→360点 3.00倍3.床の印象採得が著しく困難なもの 500点→1,000点→1,200点 2.40倍・スタディモデル 38点→ 50点→ 50点 1.32倍・暫間被覆冠 6点→ 10点→ 12点 2.00倍・リベ−ス(1床につき)1.1歯より4歯まで 88点→140点→240点 2.73倍2.5歯より8歯まで 112点→170点→290点 2.59倍3.9歯より11歯まで 136点→200点→340点 2.50倍4.12歯より14歯まで 160点→230点→390点 2.44倍 5.総義歯(1顎につき) 280点→390点→690点 2.46倍・有床義歯修理 65点→100点→200点 3.08倍・帯環金属冠修理(1個につき)1.金合金冠 34点→50点→60点 1.84倍2.その他の金属冠 24点→30点→40点 1.67倍・金合金鉤修理(1個につき) 28点→40点→50点 1.79倍・歯冠継続歯修理(1歯につき) 55点→55点→70点 1.27倍・補てつ隙 5点→10点→12点 2.40倍・臼歯金属歯(1歯につき) 5点→10点→12点 2.40倍(表)
日本歯科医師会
富山県歯科医師会
富山市歯科医師会
昭和48年の秋に起こった石油危機による狂乱物価の影響で、診療報酬の改定が昭和49年2月に19.9%、昭和49年10月に16.2%と2回にわたって行われた。これらの改定は、従来の中央社会保険医療協議会(中医協)の建議方式ではなく、中医協への諮問方式によって行われた。
今回は、 昭49年2月と昭49年10月の2回の改定の主要点数の変化と昭和42年の点数との比較をおこなった。昭和42年から昭和49年までの5回の改正でいかに恣意的に点数が決められてきたかがよく分かる。昭和42年から歯科医療は崩壊の道をたどって今に至っている。
昭42年→昭49年2月→昭49年10月 昭49/昭42
改定率 19.90% 16.20% 1.74倍