中道歯科医院|富山市高木 むし歯 歯周病 入れ歯 訪問診療 小児歯科 英語対応可 Availble language:Einglish,Department of Dentistry,ToyamaCity

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中道歯科医院
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2024年10月30日
令和6年10月院長のマンスリ−ト−ク◆昭和40年代の歯科医療−⑩昭和49年の2回の改定の検証
◆昭和40年代の歯科医療−⑩昭和49年の2回の改定の検証

昭和48年の秋に起こった石油危機による狂乱物価の影響で、診療報酬の改定が昭和49年2月に19.9%、昭和49年10月に16.2%と2回にわたって行われた。これらの改定は、従来の中央社会保険医療協議会(中医協)の建議方式ではなく、中医協への諮問方式によって行われた。
今回は、 昭49年2月と昭49年10月の2回の改定の主要点数の変化と昭和42年の点数との比較をおこなった。昭和42年から昭和49年までの5回の改正でいかに恣意的に点数が決められてきたかがよく分かる。昭和42年から歯科医療は崩壊の道をたどって今に至っている。


    昭42年→昭49年2月→昭49年10月 昭49/昭42


改定率    19.90% 16.20% 1.74倍

 


◎診察料では、
・初診時基本診療料          30点→56点→60点 2.00倍
・再診料(単に診察のみ、45年新設)    −→10点→12点
・往診料 24点→37点→150点 6.25倍
◎歯科用レントゲン
・診断料 12点→12点→12点 1.00倍
・撮影料 23点→23点→23点 1.00倍
◎処置料(歯牙疾患の処置)では、
・普通処置 6点→12点→15点 2.50倍
・歯髄覆罩(45年新設)          −→12点→15点
・根管治療(単根管)           6点→12点→15点 2.50倍
根管治療(2根管)           8点→14点→17点 2.13倍
根管治療(3根管)          8点→16点→19点 2.38倍
・根管拡大(1根)           −→ 6点→ 7点
・直抜即時根充(単根管)        39点→110点→130点 3.33倍
 直抜即時根充(2根管)        45点→120点→140点 3.11倍
 直抜即時根充(3根管)        45点→130点→150点 3.33倍
・抜髄(単根管)            14点→28点→34点 2.43倍
抜髄(2根管)            16点→34点→41点 2.56倍
抜髄(3根管)            16点→40点→48点 3.00倍
・失活抜髄即日根充(単根管)      33点→64点→78点 2.36倍
 失活抜髄即日根充(2根管)      39点→74点→89点 2.28倍
 失活抜髄即日根充(3根管)      39点→84点→100点 2.56倍
・根管充填(単根管)          13点→24点→29点 2.23倍
 根管充填(2根管)          15点→26点→31点 2.07倍
 根管充填(3根管)          15点→28点→33点 2.20倍
・歯髄切断(生活)       32点→100点→120点 3.75倍
・歯髄切断(失活)           14点→ 28点→ 34点 2.43倍
・即日充填処置(45年新設) −→ 80点→100点
・歯肉圧排(45年新設) −→ 10点→ 12点
・口腔軟組織疾患の処置 6点→ 10点→ 12点 2.00倍
・歯石除去(1顎1回につき)  15点→1/3顎簡単10点、複雑30点→1/3顎簡単12点、複雑36点
・盲嚢掻爬(簡単)      15点→1/3顎40点→1/3顎50点 3.33倍
盲嚢掻爬(複雑)      50点→1/3顎120点→1/3顎150点 3.00倍
・歯槽膿漏処置 6点→12点→14点 2.33倍
・歯冠修復物又は補綴物の除去 7点→簡単10点、 困難20点→簡単15点、 困難30点
◎手術では、
・抜歯術(1歯につき)
1.乳歯 17点→ 60点→80点 4.71倍
2.前歯 17点→ 60点→80点 4.71倍
3.臼歯 25点→ 80点→110点 4.40倍
4.難抜歯(埋伏歯、 歯根肥大、 骨の癒着歯等に対する骨の開さく又は歯根分離術)
85点→200点→280点 3.29倍
・抜歯窩再掻爬手術 22点→50点→70点 3.18倍
・歯槽骨整形術、骨瘤除去術
1.前歯           14点→50点→70点 5.00倍
2.臼歯           23点→50点→70点 3.04倍
・腐骨除去術
1.簡単なもの        23点→ 60点→ 80点 3.48倍
2.複雑なもの 320点→810点→1,150点 3.59倍
・歯槽堤形成手術        290点→730点→1,000点 3.45倍
・口腔内消炎手術
1.歯齦膿瘍、骨膜下膿瘍若しくは口蓋膿瘍の切開又は智歯周囲炎の歯齦弁切除等
       22点→ 50点→ 70点 3.18倍
2.骨髄炎又は顎骨骨炎等   24点→100点→140点 5.83倍
・口腔外消炎手術
1.2センチメ−トル未満のもの 22点→ 50点→ 70点 3.18倍
2.5センチメ−トル未満のもの 30点→ 80点→110点 3.67倍
3.5センチメ−トル以上のもの 38点→100点→140点 3.68倍
・歯肉息肉除去手術 22点→ 50点→ 70点 3.18倍
・顎骨腫瘍手術(歯根嚢腫、 濾泡性歯牙嚢腫、歯齦腫等) 340点→410点→570点 1.68倍
・歯根嚢胞摘出手術
歯冠大            130点→260点→360点 2.77倍
拇指頭大           340点→410点→570点 1.68倍
・歯槽骨骨折手術
1歯乃至2歯の範囲     70点→180点→250点 3.57倍
3歯乃至5歯の範囲    150点→270点→270点 1.80倍
・顎骨骨折手術(縫合手術を含む) 580点→690点→970点 1.67倍
・歯根端切除手術        120点→340点→480点 4.00倍
・歯槽膿漏の手術
1.歯肉切除術(1回につき)  100点→250点→350点 3.50倍
2.歯肉剥離掻爬手術(1回につき) 150点→400点→560点 3.73倍
3.暫間固定術         70点→180点→250点 3.57倍
4.監視 7点→14点→30点 4.29倍
・下顎骨脱臼整復術        43点→51点→70点 1.63倍
◎麻酔料では、
・伝達麻酔
下顎孔又は眼窩下孔にするもの 8 18点→18点→25点 1.39倍
・浸潤麻酔 4 11点→11点→15点 1.36倍
◎ 歯冠修復および欠損補綴料では、
・補綴時診断料(47年新設) −点→50点→50点
・歯冠形成
生活歯鋳造 10点+材料→60+70点→70+80点
生活歯ジャケット冠 40点+材料→60点→70点
帯環金属冠 20点→30点→40点 2.00倍
失活歯築造アリ 40点+材料→60点(鋳造+70点)→70点(鋳造+80点)
・印象採得 歯冠修復(45年新設) −→ 20点→ 25点
欠損補綴(簡単) 20点→ 30点→ 40点 2.00倍
(複雑) 20点→ 60点→ 70点 3.50倍
・装着 歯冠修復 −→10点+材料→12点+材料
ブリッジと有床義歯 −→30点→40点
口蓋補綴・顎補綴 困難 −→50点→60点
・銀錫アマルガム(1窩洞につき)・硅酸セメント(1窩洞につき)・レジン(1窩洞につき) 20点+材料→1窩洞30+1面付5+材料→1窩洞40+1面付6+材料
2.30倍
・鋳造歯冠修復(1個につき)   60点(1面に付10+材料)→50点(1面に付15+材料)
→60点(1面に付18+材料) 1.11倍
・帯環金属冠
1.嚼面圧印冠(金パラ・その他) 80点+材料→100点+材料→110点+材料 1.38倍
2.嚼面鋳造充実冠(金パラ・その他) 100点+材料→100点+材料→110点+材料
1.10倍
・歯冠継続歯
1.14K裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍
2.金銀パラジウム合金裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍
3.その他の合金裏装 100点+材料→170点+材料→210点+材料 2.10倍
4.レジン冠 70点+材料→170点+材料→210点+材料 3.00倍
5.陶歯冠 70点+材料→170点+材料→210点+材料 3.00倍
・ジャケット冠 70点+材料→220点+材料→290点+材料 4.14倍
・局部義歯(1床につき)
1.1歯より4歯まで 110点+材料→150点+材料→250点+材料 2.27倍
2.5歯より8歯まで 140点+材料→180点+材料→300点+材料 2.14倍
3.9歯より11歯まで 170点+材料→210点+材料→350点+材料 2.06倍
4.12歯より14歯まで 200点+材料→240点+材料→400点+材料 2.00倍
・総義歯(1顎につき) 350点+材料→400点+材料→700点+材料 2.00倍
・鋳造鉤(1個につき) 70点+材料→100点+材料→120点+材料 1.71倍
・線鉤(1個につき)
1.双歯鉤 30点+材料→60点+材料→70点+材料 2.33倍
2.両翼鉤(レストつき) 25点+材料→40点+材料→50点+材料 2.00倍
3.レストのないもの 22点+材料→30点+材料→40点+材料 1.82倍
・フック,スパ−  21点+材料→30点+材料→40点+材料 1.90倍
・ろう着 5点→10点→12点 2.40倍
・バ−(1個につき)
1.鋳造バ− 110点+材料→150点+材料→180点+材料 1.64倍
2.屈曲バ− 55点+材料→ 80点+材料→100点+材料 1.82倍
・ダミ−
1.前歯部
イ.裏装有り(14K、金パラ等)110点+材料→160点+材料→190点+材料 1.73倍
 ロ.裏装無し(その他の合金) 80点+材料→160点+材料→190点+材料 2.38倍
2.臼歯部
イ.金銀パラジウム裏装又は鋳造ダミ− 110点+材料→160点+材料→190点+材料
ロ.その他の合金裏装又は鋳造ダミ− 110点+材料→160点+材料→190点+材料
1.73倍
・口蓋補てつ,顎補てつ(1顎につき)
1.床の印象採得が簡単なもの 60点→200点→240点 4.00倍
2.床の印象採得が困難なもの 120点→300点→360点 3.00倍
3.床の印象採得が著しく困難なもの 500点→1,000点→1,200点 2.40倍
・スタディモデル 38点→ 50点→ 50点 1.32倍
・暫間被覆冠 6点→ 10点→ 12点 2.00倍
・リベ−ス(1床につき)
1.1歯より4歯まで 88点→140点→240点 2.73倍
2.5歯より8歯まで 112点→170点→290点 2.59倍
3.9歯より11歯まで 136点→200点→340点 2.50倍
4.12歯より14歯まで 160点→230点→390点 2.44倍
  5.総義歯(1顎につき) 280点→390点→690点 2.46倍
・有床義歯修理 65点→100点→200点 3.08倍
・帯環金属冠修理(1個につき)
1.金合金冠 34点→50点→60点 1.84倍
2.その他の金属冠 24点→30点→40点 1.67倍
・金合金鉤修理(1個につき) 28点→40点→50点 1.79倍
・歯冠継続歯修理(1歯につき) 55点→55点→70点 1.27倍
・補てつ隙 5点→10点→12点 2.40倍
・臼歯金属歯(1歯につき) 5点→10点→12点 2.40倍

(表)
 


昭和49年2月改正(改正率19.90%)の影響率分析 (255KB)

昭和49年の2回の改正の影響率アップを見ると、保存修復及び欠損補綴に篤い改正であることが分かるが、その前の3回の改正が保存修復及び欠損補綴はマイナスか横ばいだったので以下に述べるように診察料や処置料、手術料のアップには及ばない。

(総括)
・昭和42年から49年10月までの5回の改定で点数間のアンバランスが拡大した。
・昭和42年から49年10月までの5回の改定率の累積倍率は1.74倍であった。
・初診料は30点から60点と2倍になった。昭和45年に単に診察のみの場合の再診が新設。
・歯科用レントゲンの診断料(12点)・撮影料(23点)は変化しなかった。 歯科用レントゲン の撮影がこの間10倍になっていた。 恣意的に抑えられたとしか思えない。
・処置料は普通処置(6点→15点)に代表されるように、おおむね2倍以上になった。
・手術料は医科の手術料の大幅アップに呼応する形で平均で約4倍となった。
・麻酔料は伝達麻酔・浸潤麻酔のアップは1.4倍程度と低かった。
・歯冠修復及び欠損補綴料では、 充填(銀錫アマルガム・珪酸セメント・レジン)や歯冠継続歯、ジャケット冠、有床義歯、口蓋補綴、リベ−ス、有床義歯修理は平均以上に上がったが、頻度の多い鋳造歯冠修復や帯環金属冠(嚼面圧印冠・嚼面鋳造充実冠)、鋳造鉤、鋳造バ−、スタディモデルは恣意的に抑えられた。

 新医療費体系の骨子(点数は原価計算方式で計算する、「物」と「技術」は分離して評価する)を無視する厚生官僚の「勘」と「度胸」の改正が昭和42年から始まった。 これによって、日本の「保存修復および欠損補綴」は完全に崩壊した。即日充填処置(実態的には普通処置からの移行)や歯冠形成が新設・アップされたとはいえ、歯科技工に関連する頻度の多い修復物や補綴物の点数は上がらなかった。そのような不合理な改正を続けてきた厚生省の責任は重く、こうした政策の下で開業歯科医は苦しめられてきた。最大の犠牲者は歯科技工士で、委託技工料問題は厚生省の過失によって作られたことになる。
日本の歯科医療の「歯冠修復および欠損補綴」は5回の改定で点数間のアンバランスが顕著となった。公定価格を決める上であってはならないことである。 その後もこのような不合理な改正が昭和59年まで続いた。 今後も、昭和50年代の歯科医療の実証的分析を続けて行く予定である。

参考文献:日本歯科医事衛生史 第2巻 P212〜226 日本歯科医師会 1984.(非売品)
   


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