厚生労働省では、毎月、医療費の動向を迅速、に把握するために、医療機関からの診療報酬の請求に基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計し、「医療費の動向」として公表しているが、今回、平成30年度の集計結果がまとまり9月26日に公表された。 ここにおける医療費は、速報値であり、労災・全額自費等の費用を含まないことから概算医療費と称される。概算医療費は、医療機関などを受診し傷病の治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の約98%に相当している。 今回の調査結果のポイントを記すと1.平成30年度の医療費は42.6兆円となり、前年度に比べて約0.4兆円の増加となった。2.医療費の内訳を診療種類別にみると、入院17.3044兆円(構成割合40.6%)、入院外14.5594兆円(34.2%)、歯科2.9712兆円(7.0%)、調剤7.4746兆円(17.63%)となっている。3.医療費の伸び率は十0.8%。診療種別にみると、入院+2.0%、入院外+1.0%、歯科+1.9%、調剤▲3.1%となっている。4.医療機関を受診した延患者数に相当する受診廷日数の伸び率は▲0.5%、診療種目別にみると、入院▲0.4%、入院外▲0.8%、歯科▲0.1%となっている。5.1日当たり医療費の伸び率は+1.3%、診療種別にみると、入院+2.4%、入院外+1.9%、歯科+2.1%、調剤▲3.6%となっている。6.入院外の1施設たり年間医療費をみると、医科診療所10,165万円、歯科診療所4,174万円、保険薬局12,895万円となっている。速報値とはいえ、平成30年の歯科医療費が2兆9,712億円(構成割合7.0%)になったことは評価されて良い。平成19年は2兆4,996億円であったので、この11年間で4,716億増加したことになる。医療費の伸び率は、歯科+l.9%は他科に比べて多い。毎年ほぼ1.4%以上伸びることが定着化した。医療機関を受診した延患者数に相当する受診廷日数の伸び率は▲0.1%、診療種目別にみると、入院▲0.4%、入院外▲0.8%、歯科▲0.1%で歯科のマイナスが少なかったことも医療費増に結び付いた。1日当たり医療費の伸び率も歯科+2.1%と健闘している。 入院外の1施設たり年間医療費をみると、医科診療所10,165万円、歯科診療所4,174万円で、歯科診療所は医科診療所の41%しかない。本来7割であるべき技術料が4割とは医科歯科格差の典型で早めに是正されなければならない。1日当たり医療費も、診療種別にみると、入院37,052円、入院外8,893円、歯科7,121円と歯科が一番少ない。指導の目安ともなるレセプト1件当たりの平均点の高い都道府県は①北海道②秋田③大阪④青森⑤宮崎⑥大分⑦徳島⑧福岡⑨香川⑩岩手低い順では①滋賀②三重③栃木④岐阜⑤富山⑥静岡⑦山形⑧奈良⑨群馬⑩埼玉、愛媛となる。最も高い北海道1,459点と最も低い滋賀1,094点では365点の開きがあるが、年間収入は滋賀4,964万円に対し北海道は4,344万円と圧倒的取り扱い件数の多い滋賀が多い。(表参照) このように、1件当たりの平均点が低い県が必ずしも保険収入が少ない訳ではなく、滋賀や三重、岐阜、富山は平均以上である。栃木、静岡、奈良が少ない位である。 歯科の1日当たり医療費を都道府県別にみると、岡山県が7,796円と一番多く、鹿児島県が6,337円と一番低く、平均は7,121円であったが、鹿児島県は岡山県の81%しかない。日本歯科医師会は1日当たり医療費の都道府県格差の是正をしていくべきであろう。 いずれにしろ、歯科に順風が吹いており、本年中に歯科医療費は3兆円を超えたものと思われる(ただ、適正な歯科医療費は4兆円)。一部のマスコミの書く「歯科医師は食えない」職業ではなく、優秀な若者が参入して質を向上していくことが望まれる。国家試験にしても、今の合格率では将来、歯科医師の不足を招くことが予測される。これらのことをはっきり裏付ける今回の発表であった。
日本歯科医師会
富山県歯科医師会
富山市歯科医師会
厚生労働省では、毎月、医療費の動向を迅速、に把握するために、医療機関からの診療報酬の請求に基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計し、「医療費の動向」として公表しているが、今回、平成30年度の集計結果がまとまり9月26日に公表された。
ここにおける医療費は、速報値であり、労災・全額自費等の費用を含まないことから概算医療費と称される。概算医療費は、医療機関などを受診し傷病の治療に要した費用全体の推計値である国民医療費の約98%に相当している。
今回の調査結果のポイントを記すと
1.平成30年度の医療費は42.6兆円となり、前年度に比べて約0.4兆円の増加となった。
2.医療費の内訳を診療種類別にみると、入院17.3044兆円(構成割合40.6%)、入院外14.5594兆円(34.2%)、歯科2.9712兆円(7.0%)、調剤7.4746兆円(17.63%)となっている。
3.医療費の伸び率は十0.8%。診療種別にみると、入院+2.0%、入院外+1.0%、歯科+1.9%、調剤▲3.1%となっている。
4.医療機関を受診した延患者数に相当する受診廷日数の伸び率は▲0.5%、診療種目別にみると、入院▲0.4%、入院外▲0.8%、歯科▲0.1%となっている。
5.1日当たり医療費の伸び率は+1.3%、診療種別にみると、入院+2.4%、入院外+1.9%、歯科+2.1%、調剤▲3.6%となっている。
6.入院外の1施設たり年間医療費をみると、医科診療所10,165万円、歯科診療所4,174万円、保険薬局12,895万円となっている。
速報値とはいえ、平成30年の歯科医療費が2兆9,712億円(構成割合7.0%)になったことは評価されて良い。平成19年は2兆4,996億円であったので、この11年間で4,716億増加したことになる。医療費の伸び率は、歯科+l.9%は他科に比べて多い。毎年ほぼ1.4%以上伸びることが定着化した。医療機関を受診した延患者数に相当する受診廷日数の伸び率は▲0.1%、診療種目別にみると、入院▲0.4%、入院外▲0.8%、歯科▲0.1%で歯科のマイナスが少なかったことも医療費増に結び付いた。1日当たり医療費の伸び率も歯科+2.1%と健闘している。
入院外の1施設たり年間医療費をみると、医科診療所10,165万円、歯科診療所4,174万円で、歯科診療所は医科診療所の41%しかない。本来7割であるべき技術料が4割とは医科歯科格差の典型で早めに是正されなければならない。1日当たり医療費も、診療種別にみると、入院37,052円、入院外8,893円、歯科7,121円と歯科が一番少ない。
指導の目安ともなるレセプト1件当たりの平均点の高い都道府県は
①北海道②秋田③大阪④青森⑤宮崎⑥大分⑦徳島⑧福岡⑨香川⑩岩手
低い順では
①滋賀②三重③栃木④岐阜⑤富山⑥静岡⑦山形⑧奈良⑨群馬⑩埼玉、愛媛となる。
最も高い北海道1,459点と最も低い滋賀1,094点では365点の開きがあるが、年間収入は滋賀4,964万円に対し北海道は4,344万円と圧倒的取り扱い件数の多い滋賀が多い。(表参照) このように、1件当たりの平均点が低い県が必ずしも保険収入が少ない訳ではなく、滋賀や三重、岐阜、富山は平均以上である。栃木、静岡、奈良が少ない位である。
歯科の1日当たり医療費を都道府県別にみると、岡山県が7,796円と一番多く、鹿児島県が6,337円と一番低く、平均は7,121円であったが、鹿児島県は岡山県の81%しかない。日本歯科医師会は1日当たり医療費の都道府県格差の是正をしていくべきであろう。
いずれにしろ、歯科に順風が吹いており、本年中に歯科医療費は3兆円を超えたものと思われる(ただ、適正な歯科医療費は4兆円)。一部のマスコミの書く「歯科医師は食えない」職業ではなく、優秀な若者が参入して質を向上していくことが望まれる。国家試験にしても、今の合格率では将来、歯科医師の不足を招くことが予測される。これらのことをはっきり裏付ける今回の発表であった。