歯科インプラント治療は、歯がなくなった部位の骨にチタン等の人工物を埋め込み、その上に人工歯を作る治療法であり、自由診療であるが、残存歯への負担や侵襲がより少なく、審美的な回復も可能である等の利点から、歯が欠損した場合に生活の質(Quality of life:QOL)を向上させることができる有効な治療法とされている。ただ、適応症は限られる。平成16年国民健康・栄養調査結果によると、インブラントを装着している人割合は10.2%で、全国の歯科医療機関の21.5%(14,580施設)でインプラント治療が行われている。 全国消費生活情報ネットワーク(PIO-NET)には、歯科インプラント治療に関連する相談が2006年度以降の約5年間で2,086件寄せられ、歯科治療に関する相談(13,060件)の16.0%を占めていた。歯科インプラント治療に関連する相談を相談内容別に見ると、「安全・衛生」又は「品質・機能・役務品質」に関する相談が51.0%(1,063件)と約半数を占めていたという。
番組では、技術や知識不足による無理な治療が深刻な健康被害を招いており、その背景に歯科診療所の経営環境の悪化があるという。インプラントは高い収益性があるものの、大学の教育で学ぶことは少なく、メーカー主導の講習会で広まっている。インプラント学会の会員数は加速度的に増え、1万人を超えてきて、治療に関するトラブルが社会問題化する事が懸念されていたが、ここに来て国民生活センターが警鐘を鳴らした。
歯科インプラント治療は、歯がなくなった部位の骨にチタン等の人工物を埋め込み、その上に人工歯を作る治療法であり、自由診療であるが、残存歯への負担や侵襲がより少なく、審美的な回復も可能である等の利点から、歯が欠損した場合に生活の質(Quality of life:QOL)を向上させることができる有効な治療法とされている。ただ、適応症は限られる。平成16年国民健康・栄養調査結果によると、インブラントを装着している人割合は10.2%で、全国の歯科医療機関の21.5%(14,580施設)でインプラント治療が行われている。
全国消費生活情報ネットワーク(PIO-NET)には、歯科インプラント治療に関連する相談が2006年度以降の約5年間で2,086件寄せられ、歯科治療に関する相談(13,060件)の16.0%を占めていた。歯科インプラント治療に関連する相談を相談内容別に見ると、「安全・衛生」又は「品質・機能・役務品質」に関する相談が51.0%(1,063件)と約半数を占めていたという。
歯科インプラント治療により危害を受けたという相談は約5年間で343件寄せられた。これらの相談の中で、痛みや腫れ等の身体症状が継続した期間について記載があった204件のうち、1カ月を超えて身体症状が継続したという相談が154件(75.5%)であり、そのうち64件(41.6%)は1年を超えて身体症状が継続したという相談であった。身体症状の内容は、歯や口腔の痛み、腫れ、痺れや噛み合わせの問題などさまざまであったが、口唇や歯茎に麻痺が残った、痛みが取れず夜も眠れない、食べ物を噛めず体調を崩したなど、治療上生じた問題によって日常生活にまで影響が及んでいるという相談が目立っていた。なお、228件の契約購入金額の平均は約120万円であったという。
国民生活センターは、歯科インプラント治療に関して、消費者に対し情報提供するとともに、消費者トラプルの未然防止・再発防止のため、関係機関への要望及び情報提供を行ったが、
歯科医師会及び関係学会へは
(1)消費者に対して治療内容や治療方法、治療のリスク等について十分な提供を行うよう要望する
(2)消費者が歯科医師及び歯科医療機関において一定水準以上の治療を受けられるよう、歯科インプラント治療についての基準やガイドラインを設けるよう要望する
(3)医療の広告は医療法等によって規制されているが、歯科インプラント治療の広告の中
には不適切な広告が見られたため、改善を要望する。また、歯科医療機関のホームページ
は原則、広告とみなれていないが、インターネット上の広告と同様の記載が見られたた
め、何らかの対応が望まれる
(4)インプラント治療により危害等を受けたという場合の歯科医療の対応について改善を要望する。また、消費者が治療の過程で危害等を受けた場合に適切なアドバイスを得られるような相談窓口を拡充するよう要望する
という4点をあげ、消費者へのアドバイスとして
(1)歯科インプラント治療を受ける場合は、消費者自らも十分な情報収集を行うとともに、治療前に歯科医師に対してリスク等に関する説明を自ら十分に求める方が良い
(2)歯科インプラントを入れた後も、歯科医師の指導の下で適切な口腔清掃を行うとともに継続的に定期検診をうけること
(3)歯科インプラント治療により危害を受けた場合は、セカンドオピニオンを得たり、納得ができない場合は、有料となる場合もあるが、弁護士会等による法律相談を受けることができる。また、各地にある医療安全支援センター、歯科医師会、保健所、消費生活センタ−等に情報提供すること
の3点をあげる。
歯科インプラントに関する問題は増加傾向にあり、今後とも注視していかなければならないが、経営環境を良好にしていかないと、問題解決につながらない。