中道歯科医院|富山市高木 むし歯 歯周病 入れ歯 訪問診療 小児歯科 英語対応可 Availble language:Einglish,Department of Dentistry,ToyamaCity
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TEL:076-436-1311
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2011年8月12日
平成23年8月院長のマンスリートーク ◆突然死を招く歯周病の恐さ
6月22日に放映された、ためしてガッテン「緊急警報!!免疫力を低下・突然死を招く感染症」は口腔と全身の健康を考える上で有益な内容であった。
日本人の7割が罹り患者数最多の病気、免疫力を低下させ、失明や足の切断に至ったり、心臓病や心筋梗塞で突然死を招く感染症は何かという質問で番組は始まったが、その答えは歯周病であった。歯周病菌が増えると体内を巡り悪さをする。
歯周病と糖尿病は密接な関係にあり、歯周病菌を減らす治療をしたら、HbA1cの値(正常値+5.8%以下)が短期間で下がり糖尿病も劇的に良くなったという人の例が紹介される。
歯に歯垢がつき、スピロヘータとジンジバリスが歯周ポケットの中に入りこんで毒素を出す。そこで免疫細胞(マクロファージ)が働くが、歯を支える骨がとけてくる。歯周病が進むと、免疫細胞がインスリンの働きを阻害し糖尿病になり、糖尿病になると抵抗力が低下して歯周病が進行して悪循環に入るという解説。
さらに、歯周病のある人は、心臓病で2.8倍、心筋梗塞で2.9倍なりやすくなり、突然死を招くこともある。歯周病菌(ジンジバリス)が酸素に触れないように血小板の中に入り込んで、体内をめぐっている間に、血管壁に赤血球や血小板が固まり血栓ができると血液の流れがとまり突然死が起きる。
定期的に歯科医院を受診して専門的なケアをすることが重要であるということで番組が終わったが、どの程度視聴者に伝わったであろうか。
先日、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座歯周病学分野和泉雄−教授の「糖尿病と歯周病」のお話しを聞いた。
中等度から重度の歯周病に罹患している患者では、歯周ポケット内面の表面積が手のひらサイズ(55~72c㎡)になり、そこに微小潰瘍ができ菌が血管の中に入るというスライドが印象に残った。また、Porphyromonas gingivalisやTannerella forsythia、Treponema denticola、Aggregatibacter actinomycetemcomitanceが係わる歯周病の発症と進行、サイトカインとの関連、環境因子について詳しく聞いた。以下はその日の先生の抄録の一部。「米国における大規模な疫学的研究によって、歯周病が全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があることが次第に明らかになっています。退役軍人局での25年以上にわたる長期的研究の結果、調査関始時点で歯槽骨の吸収度21%以上の人は、20%以下の人に比べ、1.85倍高い死亡リスクを示しました。また、歯槽骨の吸収度が20%増すと、死亡率が51%増加することも明らかとなりました。従来は、血液疾患、発育異常、代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させる全身的因子として考えられていました。しかし、ここ数年の間、ヘルスケアにおける口腔と全身との関連性が科学的に追求されたことにより、歯周病が心臓・循環器疾患、糖尿病、呼吸器疾患といった全身疾患に密接に関係していることが明かにされています。さらに、歯周病が早産・低体重児出産に深く関わっていることも報告されています。
歯周炎は歯周病原細菌による口腔内の慢性感染症であり、糖尿病は糖代謝の異常によって起こる代謝疾患で、両者は病態の異なる疾患です。糖尿病患者で高頻度に重症化する歯周炎が、軽微な持続的な慢性炎症としてインスリン抵抗性を引き起こすことから、糖尿病と歯周炎はお互いに密接に関連しているものと理解する必要があります。両者の関係では、糖尿病患者は生体防御機能が低下しているため、歯周病原細菌に対する易感染性により、歯周炎に罹患しやすく、治癒しにくいと考えられています。現在、糖尿病患者は非糖尿病患者と比べて、2〜3倍高い歯周炎罹患率を示しています。逆に、歯周炎患者は、歯周局所で炎症性因子(1L-1、TNF-α、PGE2など)が持続的に産生され、これらの物質がインスリンの作用を阻害するため、糖尿病に罹患しやすく、病状の進行も速いと考えられています。このことから歯周炎は糖尿病の6番目の合併症として注目されています。さらに、最近注目を集めていることは、2型糖尿病患者では適切な歯周治療によりHbAlcの値が改善する可能性があることです。すなわち、適切な歯周治療が行われると歯周局所の炎症が改善されるため、TNF-αなどの局所に産生される炎症性因子の産生が抑制され、その結果、インスリン抵抗性が改善されるためにHbAlcの低下が起こることが予測されます。」
歯周病と糖尿病の悪の循環を断ち切ることが肝要である。
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恩師総山孝雄(ふさやまたかお)先生の教え
いつも、総山先生の教えを守るよう治療に当たっています。
富山県内での産業歯科保健事業からの成果を踏まえて
院長は、この事業の設立時から中心的役割をにない一定の成果を出しました。
かかりつけ歯科医の役割
年に1回は必ず「かかりつけ歯科医」で健診することが重要と考えます。
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日本人の7割が罹り患者数最多の病気、免疫力を低下させ、失明や足の切断に至ったり、心臓病や心筋梗塞で突然死を招く感染症は何かという質問で番組は始まったが、その答えは歯周病であった。歯周病菌が増えると体内を巡り悪さをする。
歯周病と糖尿病は密接な関係にあり、歯周病菌を減らす治療をしたら、HbA1cの値(正常値+5.8%以下)が短期間で下がり糖尿病も劇的に良くなったという人の例が紹介される。
歯に歯垢がつき、スピロヘータとジンジバリスが歯周ポケットの中に入りこんで毒素を出す。そこで免疫細胞(マクロファージ)が働くが、歯を支える骨がとけてくる。歯周病が進むと、免疫細胞がインスリンの働きを阻害し糖尿病になり、糖尿病になると抵抗力が低下して歯周病が進行して悪循環に入るという解説。
さらに、歯周病のある人は、心臓病で2.8倍、心筋梗塞で2.9倍なりやすくなり、突然死を招くこともある。歯周病菌(ジンジバリス)が酸素に触れないように血小板の中に入り込んで、体内をめぐっている間に、血管壁に赤血球や血小板が固まり血栓ができると血液の流れがとまり突然死が起きる。
定期的に歯科医院を受診して専門的なケアをすることが重要であるということで番組が終わったが、どの程度視聴者に伝わったであろうか。
先日、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座歯周病学分野和泉雄−教授の「糖尿病と歯周病」のお話しを聞いた。
中等度から重度の歯周病に罹患している患者では、歯周ポケット内面の表面積が手のひらサイズ(55~72c㎡)になり、そこに微小潰瘍ができ菌が血管の中に入るというスライドが印象に残った。また、Porphyromonas gingivalisやTannerella forsythia、Treponema denticola、Aggregatibacter actinomycetemcomitanceが係わる歯周病の発症と進行、サイトカインとの関連、環境因子について詳しく聞いた。以下はその日の先生の抄録の一部。「米国における大規模な疫学的研究によって、歯周病が全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があることが次第に明らかになっています。退役軍人局での25年以上にわたる長期的研究の結果、調査関始時点で歯槽骨の吸収度21%以上の人は、20%以下の人に比べ、1.85倍高い死亡リスクを示しました。また、歯槽骨の吸収度が20%増すと、死亡率が51%増加することも明らかとなりました。従来は、血液疾患、発育異常、代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させる全身的因子として考えられていました。しかし、ここ数年の間、ヘルスケアにおける口腔と全身との関連性が科学的に追求されたことにより、歯周病が心臓・循環器疾患、糖尿病、呼吸器疾患といった全身疾患に密接に関係していることが明かにされています。さらに、歯周病が早産・低体重児出産に深く関わっていることも報告されています。
歯周炎は歯周病原細菌による口腔内の慢性感染症であり、糖尿病は糖代謝の異常によって起こる代謝疾患で、両者は病態の異なる疾患です。糖尿病患者で高頻度に重症化する歯周炎が、軽微な持続的な慢性炎症としてインスリン抵抗性を引き起こすことから、糖尿病と歯周炎はお互いに密接に関連しているものと理解する必要があります。両者の関係では、糖尿病患者は生体防御機能が低下しているため、歯周病原細菌に対する易感染性により、歯周炎に罹患しやすく、治癒しにくいと考えられています。現在、糖尿病患者は非糖尿病患者と比べて、2〜3倍高い歯周炎罹患率を示しています。逆に、歯周炎患者は、歯周局所で炎症性因子(1L-1、TNF-α、PGE2など)が持続的に産生され、これらの物質がインスリンの作用を阻害するため、糖尿病に罹患しやすく、病状の進行も速いと考えられています。このことから歯周炎は糖尿病の6番目の合併症として注目されています。さらに、最近注目を集めていることは、2型糖尿病患者では適切な歯周治療によりHbAlcの値が改善する可能性があることです。すなわち、適切な歯周治療が行われると歯周局所の炎症が改善されるため、TNF-αなどの局所に産生される炎症性因子の産生が抑制され、その結果、インスリン抵抗性が改善されるためにHbAlcの低下が起こることが予測されます。」
歯周病と糖尿病の悪の循環を断ち切ることが肝要である。