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中道歯科医院
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2017年6月5日
平成29年6月院長のマンスリートーク ◆日歯連盟の11億円はなぜ消えたか−杜撰な経理の実態−
平成29年6月院長のマンスリートーク ◆日歯連盟の11億円はなぜ消えたか−杜撰な経理の実態−
 本年3月1日に、日本歯科医師連盟の政治資金収支報告書の平成27年の前年繰越額が不明から1,415,672,800へ、平成26年分は2,465,583,402が1,371,400,193へ、平成25年分は2,659,100,015が1,564,916,806へ訂正された。帳簿上から約11億円が消えた形になるが、そのお金はもともとなかったのに7年間も放置されていた。普通の会社では前代未聞のあり得ないことであるが、そのことに対する責任を現在の連盟の執行部(役員・監事)や評議員はだれも取っていない。
 日歯連盟を巡っては、13年前の平成16年、診療報酬の改定を巡る汚職事件や自民党旧橋本派の政治団体への収支報告書に記載されていない1億円の献金事件などが明らかになり、日歯連盟の当時の会長ら幹部、社会保険庁の元長官、それに元国会議員などが有罪判決を受けた。日歯連盟の事件をきっかけに政治資金規正法が改正され、政治団体間の寄付に年間5,000万円の上限が設けられた。
 その時に関係書類が東京地検特捜部に押収されていたため、6年間ほどは収入総額が不明の時期が続いた(表1)。平成21年分の前年繰越額か2,785,560,868と急に出てきていたが、その時の金額が11億円水増し(?)されていたようなのであるが、真相は闇だ。

 平成27年4月30日、東京地検特捜部は西村後援会から石井後援会への資金移動が「迂回献金ではないか」という政治資金規正法違反の疑いで、日歯連盟本部事務所を家宅捜索し、9月30日に当時の高木幹正日歯会長ら連盟の関係者3名を逮捕し、現在係争中である。
 2015年の日本歯科医師連盟の訂正された政治資金報告書を見ると、本年の収入額が994,547,957(党費又は会費を納入した人数は42,846人)、収入総額は2,410,220,757であり、支出総額は869,487,000である。
 経常経費は(1)人件費151,485,787(2)光熱水費406,068(3)備品・消耗品費10,655,775(4)事務所費24,610,360で計は187,157,990であった。人件費のほとんどが役員の給与である。毎月の給与は会長52.5万、副会長39.9万、理事長78.75万、常務理事39.9万、理事13.65万、常務監事39.9万、監事13.65万で、賞与は年収の半分(6月分)が出る。退職金は会長300万、副会長280万、理事長390万、常務理事270万、理事110万、常務監事270万、監事110万と破格である。さらに、旅費は原則実費ということになっているが、現実にもらっている額は実費の倍程なので、いい小遣いとなる。最近は少なくなっているが、料亭・ホテルでの飲み食いも渉外費となる。
 政治活動費のうち組織活動費は144,678,754で、内訳は会議費(連盟関係の会合の旅費)86,727,379、旅費(活動旅費)23,793,654、交際費(広告料・御祝金等)6,097,881、諸会費(政治家のパ−ティ−券等)21,547,000、渉外費(飲食代)1,388,735(前年より大幅に減少)である。身内の機能していない会合の旅費に8千万以上使っている。役員の活動旅費も2千万を超える。表2は、諸会費(政治家のパ−ティ−券等)21,547,000の内訳であるが、額が5万や6万と実にせこい。子供の使いではあるまいし、政治家に失礼ではないか。医師連盟などと比較されると、現執行部の政治センスのなさが裏付けられる。

 その他、筆耕代1,152,252、印刷代297,000、機関紙誌の作成関係費に22,090,084(すべて一世出版)、ホ−ムペ−ジ関係費1,555,200(フリ−セル)、広告代626,800、撮影代127,440が支出されている。調査研究費は12,323,750と嘱託というだけで、あまり仕事をしなくてもいい給与が払われている。
 寄附・交付金は498,607,100かかっているが、(一財)国民政治協会5,000万、花誠会(西村まさみ)1,000万、新世紀社会保障政策研究会(石井みどり)1,000万、島村大後援会750万、自由民主党埼玉県参議院選挙区第四支部500万、自由民主党千葉県第十三選挙区支部100万、新日本情勢調査会100万、比嘉なつみ連合後援会100万が目立つ位で、それ以外は都道府県歯科医師連盟への寄附金で約4億1千万強も戻っている(表3)。

 (一財)国民政治協会(自民党)への5,000万は医師連盟の2億円と比べ少なすぎる。日本歯科医師連盟で集めたお金は都道府県歯科医師連盟へ寄付金で戻すのではなく、中央で効率的に使うべきであろう。中央への会費や寄付金が集めた金(会員の浄財)の1割では悲しすぎる。
 私は、これまで日本歯科評論のコラムで「日歯連盟は、公正で効率的な事業執行と会計面の適正化・透明化を行っているというが、役員報酬・職員給与等人件費に1億円、会議費・旅費に1億円、都道府県歯科医師連盟に2億円以上の交付金など他の政治団体に見られない非効率的な面が多い。結果として、中央への献金額が大幅に低下している。現実的には、政治を動かす力はカネ(政治献金)と票(選挙での得票)である。」と書いてきたが、改善のきざしは見られず、ますます悪くなってきている。
 日歯連盟の会費の使い方には今後も目を配る必要があるが、ここは役員人事も含め改革が求められる。あまりにも杜撰過ぎる会計の実態にもっと会員は怒るべきだ。中央で政治家にお金を使わないのであれば、会費の値下げをすべきであろう。日本歯科医師連盟は、まさに「伏魔殿」である。
   


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