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2017年11月20日
平成29年11月院長のマンスリートーク◆儀式化した中医協医療経済実態調査
平成29年11月院長のマンスリートーク◆儀式化した中医協医療経済実態調査
政府は2018年度の診療報酬改定で全体の改定率をマイナスとする方針を固めた。医師や薬剤師の技術料にあたる「本体」は微増とし、「薬価」を大幅に引き下げて、ト−タルでマイナスとするやり方で、2016年に続き(前回は▲0.84%、うち薬価が▲1.33%、本体部分は医師会の巻き返しで+0.49%)2回連続となる。最終的な改定率は12月中旬に決まるが、マイナスは確実な情勢である。
政府は、高齢化の進展により社会保障費が増え続けると、制度の維持が困難になるとして、2016〜18年度の3年間の社会保障費の伸びを1兆5,000億円程度に抑えるという目安を財政健全化計画の中に盛り込んだ。平均して年間5,000億円の伸びに抑える内容だ。l8年度予算の厚労省の概算要求では、社会保障費の「自然増」は6,300億円とされ、1,300億円をカットしなければならず、その額は診療報酬の約1%分に相当する。
2017年度の予算ベースで診療報酬は約45兆円である。改定率がトータルでマイナスだと医療機関の収入が減り、同時に財源となる公費や保険料、患者が窓口で支払う自己負担額(原則1〜3割)も減る。診療報酬が1%マイナスになれば、国費負担は年約1,200億円、患者の自己負担は年間約600億円軽くなる。
財務省は「本体部分もマイナスに」とずっと主張してきたが、日本医師会や自民党厚生労働族議員から「病院経営は苦しい」との声が出て、医師や薬剤師の技術料にあたる「本体」は微増で決着したようだ。
2年前の2016年度改定の時は社会保障費全体で1,700億円抑制が必要で、やはり診療報酬が焦点になり、「本体部分のマイナスになるかが焦点」とされたのは今回と同じである。薬価で2,200億円削り、本体部分の増加500億円をまかなったうえで差し引き1,700億円のカットを実現した。
そもそも、診療報酬の改定率は、賃金や消費者物価指数等の経済指数を加味しながら、中医協が行う医療経済実態調査の結果をみて決める事になっているが、最近は始めに改定率ありきになってきている。
今年の、「医療経済実態調査」では、国公立を除く一般病院をみると、損益差額率は、2015年度の+0.4%から2016年度に+0.1%ヘ低下しており、厚生労働省は病院の経営状況は総じて悪くなっていると評し、診療報酬本体のプラス改定を求めてきた。これに、診療報酬本体のプラス改定を要望する日本医師会なども同調した。
他方、集計しただけの数字を鵜呑みにしては誤りだと指摘したのは財務省であった。11月8日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会に提出された補足説明資料によると、医療経済実態調査はサンプル調査で、回収率の差異なども考慮せず、実際の医療機関の分布状況と異なるのに、そのまま回収できたサンプルの結果だけを単純に集計しているので、実態を表したことにならないとした。
医療経済実態調査結果の数値が信頼できない事は、私は25年前から言ってきたが、ここで財務省が自ら認めた形になった。今回の歯科診療所の結果を以下に示す。医業収入が年間4,789.9万(自費も含む)、損益差額が1,036.6万で対前年それぞれ1.27%、4.01%増となっている。一般診療所の医業収入(12,537.9万)及び損益差額(1,767.9万)と比べかなり少ない。特に、医業収入は歯科は医科の38%という異常な数値である。
医療経済実態調査の問題点は大きく分けて2つある。1つは、前回の診療報酬改定前の医療経済実態調査の結果と、今回の結果を比較しようとしても、医療経済実態調査の調査対象が異なっているから、直接比較できないという点である。厚生労働省は、層化無作為抽出法を採用して科学的な調査に心がけようとしているが、低い抽出率(病院1/3、一般診療所1/20、歯科診療所1/50、保険薬局1/25、特に歯科が低い)である。
もう1つは、有効な回答をした医療機関だけの結果を単純に集計してしまうと、医療機関の実際の構成比とずれてしまい、実態をうまく表せないことである。しかも、有効回答率も上昇したとはいえ60%未満(病院52.9%、一般診療所52.6%、歯科診療所51.8%、保険薬局51.7%)である。
すべての医療機関を対象とした全数調査ならば、これらの問題は起こらないはずである。全数調査に変えるのが最善(所詮無理で、できっこない)だが、医療経済実態調査をサンプル調査で続けるなら、全数調査と遜色ない結果を示せるような工夫(専門用語では比推定など)が必要であると慶応大学の土居教授は訴える。
せっかく医療経済実態調査を実施するのであれば、客観的な事実(エビデンス)に基づいた議論に資するものにすベきである。実はかなり以前より、医療経済実態調査の公表は、診療報酬改定を行う前の一大儀式と化している。別の言い方をすると、医療経済実態調査は医療機関の真の姿を調査した結果とは、残念ながら言えない状況になっている。今さら、遅いと言うのが実感である。
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政府は、高齢化の進展により社会保障費が増え続けると、制度の維持が困難になるとして、2016〜18年度の3年間の社会保障費の伸びを1兆5,000億円程度に抑えるという目安を財政健全化計画の中に盛り込んだ。平均して年間5,000億円の伸びに抑える内容だ。l8年度予算の厚労省の概算要求では、社会保障費の「自然増」は6,300億円とされ、1,300億円をカットしなければならず、その額は診療報酬の約1%分に相当する。
2017年度の予算ベースで診療報酬は約45兆円である。改定率がトータルでマイナスだと医療機関の収入が減り、同時に財源となる公費や保険料、患者が窓口で支払う自己負担額(原則1〜3割)も減る。診療報酬が1%マイナスになれば、国費負担は年約1,200億円、患者の自己負担は年間約600億円軽くなる。
財務省は「本体部分もマイナスに」とずっと主張してきたが、日本医師会や自民党厚生労働族議員から「病院経営は苦しい」との声が出て、医師や薬剤師の技術料にあたる「本体」は微増で決着したようだ。
2年前の2016年度改定の時は社会保障費全体で1,700億円抑制が必要で、やはり診療報酬が焦点になり、「本体部分のマイナスになるかが焦点」とされたのは今回と同じである。薬価で2,200億円削り、本体部分の増加500億円をまかなったうえで差し引き1,700億円のカットを実現した。
そもそも、診療報酬の改定率は、賃金や消費者物価指数等の経済指数を加味しながら、中医協が行う医療経済実態調査の結果をみて決める事になっているが、最近は始めに改定率ありきになってきている。
今年の、「医療経済実態調査」では、国公立を除く一般病院をみると、損益差額率は、2015年度の+0.4%から2016年度に+0.1%ヘ低下しており、厚生労働省は病院の経営状況は総じて悪くなっていると評し、診療報酬本体のプラス改定を求めてきた。これに、診療報酬本体のプラス改定を要望する日本医師会なども同調した。
他方、集計しただけの数字を鵜呑みにしては誤りだと指摘したのは財務省であった。11月8日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会に提出された補足説明資料によると、医療経済実態調査はサンプル調査で、回収率の差異なども考慮せず、実際の医療機関の分布状況と異なるのに、そのまま回収できたサンプルの結果だけを単純に集計しているので、実態を表したことにならないとした。
医療経済実態調査結果の数値が信頼できない事は、私は25年前から言ってきたが、ここで財務省が自ら認めた形になった。今回の歯科診療所の結果を以下に示す。医業収入が年間4,789.9万(自費も含む)、損益差額が1,036.6万で対前年それぞれ1.27%、4.01%増となっている。一般診療所の医業収入(12,537.9万)及び損益差額(1,767.9万)と比べかなり少ない。特に、医業収入は歯科は医科の38%という異常な数値である。
医療経済実態調査の問題点は大きく分けて2つある。1つは、前回の診療報酬改定前の医療経済実態調査の結果と、今回の結果を比較しようとしても、医療経済実態調査の調査対象が異なっているから、直接比較できないという点である。厚生労働省は、層化無作為抽出法を採用して科学的な調査に心がけようとしているが、低い抽出率(病院1/3、一般診療所1/20、歯科診療所1/50、保険薬局1/25、特に歯科が低い)である。
もう1つは、有効な回答をした医療機関だけの結果を単純に集計してしまうと、医療機関の実際の構成比とずれてしまい、実態をうまく表せないことである。しかも、有効回答率も上昇したとはいえ60%未満(病院52.9%、一般診療所52.6%、歯科診療所51.8%、保険薬局51.7%)である。
すべての医療機関を対象とした全数調査ならば、これらの問題は起こらないはずである。全数調査に変えるのが最善(所詮無理で、できっこない)だが、医療経済実態調査をサンプル調査で続けるなら、全数調査と遜色ない結果を示せるような工夫(専門用語では比推定など)が必要であると慶応大学の土居教授は訴える。
せっかく医療経済実態調査を実施するのであれば、客観的な事実(エビデンス)に基づいた議論に資するものにすベきである。実はかなり以前より、医療経済実態調査の公表は、診療報酬改定を行う前の一大儀式と化している。別の言い方をすると、医療経済実態調査は医療機関の真の姿を調査した結果とは、残念ながら言えない状況になっている。今さら、遅いと言うのが実感である。