中道歯科医院|富山市高木 むし歯 歯周病 入れ歯 訪問診療 小児歯科 英語対応可 Availble language:Einglish,Department of Dentistry,ToyamaCity
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2018年9月19日
平成30年9月院長のマンスリートーク◆「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)について
平成30年9月院長のマンスリートーク◆「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)について
「フレイル」は、人の老化の過程における、「健常」と「要介護状態」の中間であり、健康障害につながる心神の脆弱な状態であると同時に、ストレスに対する予備力の低下に起因した状態であると定義される。現在の日本では、約300万人の高齢者がフレイルの状態に該当するとされる。
最近は、口腔機能低下が「フレイル」の初期段階と位置づけられ、「オーラルフレイル」と呼ばれている。口腔機能を改善していくことが健康寿命の延伸につながり、ひいては健康長寿を実現して医療費の抑制にもつながっていく。
「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)とは、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰えの一つである。「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)を放置すると、「歯を失う→噛む能力の低下→噛めない、飲み込めない(摂食嚥下障害)→栄養不足(低栄養)→身体機能の衰え→要介護」という経過をたどるといわれる。
この概念は、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らによる大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められている。「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)は健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つである。つまり、早めに気づき、適切な対応をすることでより健康に近づくことになる。早いうちから対策を行うことによって、口や歯の機能低下を防ぐことが大切である。
オーラルフレイル、口腔機能低下症の定義と診断基準は、2016年に日本老年歯科医学会によって以下の7つの症状が定められ発表された。(概念図を示す)
1)口腔不潔
口腔不潔とは、高齢者の口腔内で微生物が異常に増加した状態であり、その結果として唾液中の微生物数の増加を招き、誤嚥性肺炎、術後肺炎、術後感染、口腔内感染症等を引き起こす可能性がある状態のこと。
診断基準:細菌カウンタによる総微生物数が6.5Log10(CFU/mL)以上
2)口腔乾燥
口腔乾燥とは、口腔内の異常な乾燥状態、あるいは乾燥感を伴った自覚症状を指すもので、その病態は、主に唾液由来の水分が不足することから、生体の恒常性に寄与する機能が欠落し、さまざまな障害が惹起される状態のことである。
診断基準:ムーカスによる測定値が27.0未満
3)咬合力低下
咬合力の低下は、天然歯あるいは義歯による咬合力の低下した状態である。咀嚼能力と相関が高く、残存歯数や咬合支持と関連が強いが、筋力の低下にも影響を受ける。
診断基準:デンタルプレスケールによる咬合力が200N未満
4)舌口唇運動機能低下
舌口唇運動機能低下とは、全身疾患や加齢変化によって、脳・神経の機能低下や口腔周囲筋の機能低下が生じた結果、舌口唇の運動機能を示す速度や巧緻性が低下し、摂食行動、栄養、生活機能、およびQOLなどに影響を及ぼす可能性がある状態のこと。
診断基準:ディアドコキネシス(/pa//ta//ka/)の連続発音のいずれかが6回/秒未満
5)低舌圧
低舌圧とは、舌を動かす筋群の慢性的な機能低下により、舌と口蓋や食物との間に発生する圧力が低下した状態である。この進行に伴って健常な咀嚼と食塊形成および嚥下に支障を生じ、必要栄養量に見合うだけの食物摂取ができない状態にいたる可能性がある。診断基準:JMS舌圧測定器による最大舌圧が30kPa未満
6)咀嚼機能低下
加齢や健康状態、口腔内環境の悪化により、食べこぼしや嚥下時のむせ、噛めない食品がだんだん増え、食欲低下や食品多様性が低下する。咀嚼機能低下とは、これがさらに悪化した状態のことであり、咬合力や舌の運動機能が低下し、結果的に低栄養、代謝量低下を起こすことが危惧される状態のこと。
診断基準:グミゼリーによる咀嚼でグルコースの濃度が100mg/dL未満
7)嚥下機能低下
嚥下機能低下の概念は、加齢による摂食嚥下機能の低下が始まり、明らかな障害を呈する前段階での機能不全を有する状態である。
診断基準:EAT−10で合計点数が3点以上
これらのうち、3項目以上が基準以下であると口腔機能低下症と診断される。
本年4月の診療報酬改定において、7つの症状のうち3項目以上該当する人が「口腔機能低下症」とされ、口腔機能の回復又は維持を目的として医学管理を行う場合に歯科疾患管理料を算定できるようになった。
「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)は定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要である。また、地域で開催される介護予防事業などさまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的であるといわれる。
健康日本の目標である健康寿命の延伸のため、「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)に対する対策を進めて行くことが重要となってきている。
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恩師総山孝雄(ふさやまたかお)先生の教え
いつも、総山先生の教えを守るよう治療に当たっています。
富山県内での産業歯科保健事業からの成果を踏まえて
院長は、この事業の設立時から中心的役割をにない一定の成果を出しました。
かかりつけ歯科医の役割
年に1回は必ず「かかりつけ歯科医」で健診することが重要と考えます。
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最近は、口腔機能低下が「フレイル」の初期段階と位置づけられ、「オーラルフレイル」と呼ばれている。口腔機能を改善していくことが健康寿命の延伸につながり、ひいては健康長寿を実現して医療費の抑制にもつながっていく。
「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)とは、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰えの一つである。「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)を放置すると、「歯を失う→噛む能力の低下→噛めない、飲み込めない(摂食嚥下障害)→栄養不足(低栄養)→身体機能の衰え→要介護」という経過をたどるといわれる。
この概念は、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らによる大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められている。「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)は健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つである。つまり、早めに気づき、適切な対応をすることでより健康に近づくことになる。早いうちから対策を行うことによって、口や歯の機能低下を防ぐことが大切である。
オーラルフレイル、口腔機能低下症の定義と診断基準は、2016年に日本老年歯科医学会によって以下の7つの症状が定められ発表された。(概念図を示す)
1)口腔不潔
口腔不潔とは、高齢者の口腔内で微生物が異常に増加した状態であり、その結果として唾液中の微生物数の増加を招き、誤嚥性肺炎、術後肺炎、術後感染、口腔内感染症等を引き起こす可能性がある状態のこと。
診断基準:細菌カウンタによる総微生物数が6.5Log10(CFU/mL)以上
2)口腔乾燥
口腔乾燥とは、口腔内の異常な乾燥状態、あるいは乾燥感を伴った自覚症状を指すもので、その病態は、主に唾液由来の水分が不足することから、生体の恒常性に寄与する機能が欠落し、さまざまな障害が惹起される状態のことである。
診断基準:ムーカスによる測定値が27.0未満
3)咬合力低下
咬合力の低下は、天然歯あるいは義歯による咬合力の低下した状態である。咀嚼能力と相関が高く、残存歯数や咬合支持と関連が強いが、筋力の低下にも影響を受ける。
診断基準:デンタルプレスケールによる咬合力が200N未満
4)舌口唇運動機能低下
舌口唇運動機能低下とは、全身疾患や加齢変化によって、脳・神経の機能低下や口腔周囲筋の機能低下が生じた結果、舌口唇の運動機能を示す速度や巧緻性が低下し、摂食行動、栄養、生活機能、およびQOLなどに影響を及ぼす可能性がある状態のこと。
診断基準:ディアドコキネシス(/pa//ta//ka/)の連続発音のいずれかが6回/秒未満
5)低舌圧
低舌圧とは、舌を動かす筋群の慢性的な機能低下により、舌と口蓋や食物との間に発生する圧力が低下した状態である。この進行に伴って健常な咀嚼と食塊形成および嚥下に支障を生じ、必要栄養量に見合うだけの食物摂取ができない状態にいたる可能性がある。診断基準:JMS舌圧測定器による最大舌圧が30kPa未満
6)咀嚼機能低下
加齢や健康状態、口腔内環境の悪化により、食べこぼしや嚥下時のむせ、噛めない食品がだんだん増え、食欲低下や食品多様性が低下する。咀嚼機能低下とは、これがさらに悪化した状態のことであり、咬合力や舌の運動機能が低下し、結果的に低栄養、代謝量低下を起こすことが危惧される状態のこと。
診断基準:グミゼリーによる咀嚼でグルコースの濃度が100mg/dL未満
7)嚥下機能低下
嚥下機能低下の概念は、加齢による摂食嚥下機能の低下が始まり、明らかな障害を呈する前段階での機能不全を有する状態である。
診断基準:EAT−10で合計点数が3点以上
これらのうち、3項目以上が基準以下であると口腔機能低下症と診断される。
本年4月の診療報酬改定において、7つの症状のうち3項目以上該当する人が「口腔機能低下症」とされ、口腔機能の回復又は維持を目的として医学管理を行う場合に歯科疾患管理料を算定できるようになった。
「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)は定期的に歯や口の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要である。また、地域で開催される介護予防事業などさまざまな口腔機能向上のための教室やセミナーなどを活用することも効果的であるといわれる。
健康日本の目標である健康寿命の延伸のため、「オーラルフレイル」(口腔機能低下症)に対する対策を進めて行くことが重要となってきている。